美術の世界が興味深い。「楽園のカンヴァス」(原田マハ)を読んで。

 

 

原田マハさんの「楽園のカンヴァス」を読みました。
ずっとずっとずっと気になっていたのに、図書館で借りては読まないまま返すを幾度繰り返したか。

 

図書館好きで本をたくさん借りてきては一冊しか読まないまま返却日ってパターン、よくやっちゃうんですよね……。

やっと読みました! 面白かった~。

 

がっつりしたネタバレは避けているつもりの感想ですが、それでも少なからず内容には触れていますので、ネタバレが嫌な方は戻った頂いたほうが安全です。

 

あらすじ:誰も死なないミステリー

美術館の作品を守る監視員。早川織絵の今の職業。

 

物語は倉敷の大原美術館で働いている彼女のモノローグから始まります。

ただひたすら作品の前に立ち、監視を続ける仕事。

美術に興味がなければ退屈すぎるし、多少興味があっても、毎日毎日朝10時から夕方5時までひたすら見守るとなればやっぱり退屈して「一日が長えわあ」などとこぼすようになるのだけど。

 

織絵の目を通して描写される作品は美しいし、詳しいし、きっと彼女は美術が好きなんだろうなと思わせます。

 

そんなある日、一監視員に過ぎないはずの織絵が東京の美術館からやってきたやり手のキュレーターである学芸課長に呼び出されます。

恐る恐る学芸課の部屋を訪ねると、織絵にとっては雲の上の人のような国内屈指の西洋美術史家である館長やら大手新聞社の記者やらがいて、驚くべきことを告げてきます。

 

ティム・ブラウンを知っているか。

 

ニューヨーク近代美術館のチーフ・キュレーターである彼が、あなたが交渉の窓口になるのなら、彼らの『至宝』、アンリ・ルソーの『夢』を我々に貸し出してもいいと言っている。

 

混乱し固まる織絵に彼らはさらに問います、「あなたは、ひょっとして、あのオリエ・ハヤカワなんじゃないですか?」

 

以前流麗なフランス語で次々と論文を発表している日本人がいると話題になっていたといいいます。

 

そして時は巻き戻り、場所は変わってニューヨーク。

今ではニューヨーク近代美術館のチーフ・キュレーターであるティム・ブラウンがアシスタント・キュレーターだった頃。

 

ある夏の日、彼宛に謎の封書が届きます。

誰もその姿を見たことがない、伝説のコレクターの代理人から、アンリ・ルソーの秘められた(つまり未発表の)名作がある。ついてはそれを調査してほしいという依頼です。

 

当時のチーフ・キュレーターはトム・ブラウン。

ティムとは一文字違いでおそらくこの封書もトム宛のもので、タイプミスに違いない。

それは珍しいことではなかったから。でもその封書を受け取ったその時、トムは休暇中。

出世のビッグチャンス。

ティムは『チーフ・キュレーター トム・ブラウン』として、その依頼に応えることに決めます。

 

ニューヨークから舞台はスイスへ。そこで伝説のコレクターから提示されたのは一つの作品と七章からなる「物語」。

一日一章ずつ読んで、七日後にこの作品の真偽を講評してほしいといいます。

 

そしてその場に招待されているのはティムだけではなく、もう一人。

まっすぐな黒髪に、切れ長の涼しげな瞳の日本人女性がそこにはいました。

 

過去があって今があって

たくさんの点と点が少しずつ繋がって、ラストに集約していくのが気持ちいい!

美術作品の描写が綺麗だしその纏う空気も感じられるような気がして、面白かった。

 

美術館に行きたくなるし、ルソーを見たくなります。(美術のこと、全然わかりませんが)

 

ちなみに一番上でアップしている表紙の絵が、ニューヨーク近代美術館所蔵、アンリ・ルソーの「夢」ですね。

 

アンリ・ルソーの発表作品「夢をみた」が、贋作なのか真作なのかというのが、物語の最大のミステリーです。

 

そしてこの物語の中心はそれを解き明かすスイスでの七日間。

 

キーとなる劇中の「物語」一章を読んで、その日の残りを過ごし、また次の日になったら「物語」を読んで……という構成で淡々と進んでいくのですが、メインのミステリー以外にもちょこちょこ謎が出てくるから、先が気になって仕方がない。

読み始めたら止まらなくなります。

 

以前どこかで見たことのある人とか、誰もここにきていることは知らないはずなのに滞在先に突如かかってくる電話とか、急に近寄ってくる謎の女、しかも彼女はこちらの状況をすべて知っているとか。

あとはティムは上司の「トム」と偽ってきているので、それがどう転ぶのか、とか。

 

もともとミステリーが好きなので、楽しかったー!

こういうミステリーは初めてでした。

あ、ダ・ヴィンチ・コードも近いですかね。

ただあっちは容赦なく人が消されていくからなぁ。しかも結構描写えぐいですよね。「楽園のカンヴァス」は、そんなことないので、ご安心下さい!

 

恋愛小説はあまり読みませんが、ストーリーのメインは別にありつつも、恋愛を匂わす雰囲気やほのかな描写、何の匂わせがなくても個人的にツボの組み合わせが出てくると勝手に妄想を広げてにやにやするタイプの読み手なので、その方面でも塩梅が私のツボでした。(前面に押し出されすぎてもあれだし、あんまりなさ過ぎてもさみしいという)

 

あとなぜかこの作品は綾瀬はるかさんと松坂桃李さんで映画化されているという思い込みがあって、読み終わって真っ先に思ったのが「松坂さん何役?」で速攻検索をかけたところ映画化されていたのは『万能鑑定士Q ーモナ・リザの瞳ー』という作品でした。

作者は松岡圭祐さんで別の方ですね。こちらはまだ読んだことありませんが、タイトルだけ見たら、ね、ほら混同しそうな気もしませんか? はい、しませんね。失礼致しました。

 

作者の原田マハさんは以前キュレーターだったんですね。

他の作品も読んでみたくなりました。(万能鑑定士Qも読みたくなりました)似たようなジャンルも書かれているのかしら。探してみよっと。

 

 

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